日本中にいる『東京貧困女子。』
中村淳彦『東京貧困女子。』を読んだ感想。
長年AV女優や風俗嬢、介護現場を取材している著者による、東京に住む女性たちの貧困問題を取り上げた本。
貧困問題に喘ぐ女性は様々だ。
奨学金という多額の借金を背負ったことで風俗で働かざるをえなくなった女性。
子どものために介護の仕事を頑張りすぎて体を壊してしまった女性。
精神を病み、まともに働くことができなくなってしまった女性。
ただ普通に生きていたいだけなのに、社会は彼女たちに冷たい。
実際、この連載に寄せられたコメントも批判的なものが多かったようだ。
生活のために、生きるために身体を売る女性。
劣悪な環境で働かされ身体を壊し、生活保護を受ける女性。
これらは自業自得で片付けていい話ではないはずだ。
なぜみんな「明日は我が身」だとは思わないのだろうか。
彼女たちの貧困が社会に起因していると思わないのだろうか。
貧困女性たちの多くは生活保護で受給できる額より少ない所得で生きている。
「そういうことです。日本は女性を生活保護水準で働かせる制度設計をしている。私はたまたま抜けだすことができたけど、多くの一般女性たちはスラム以下の扱いなんです」
こんな風に女性に言わせる社会に希望などあるのだろうか。
社会福祉が機能している社会と言えるのだろうか。
この本に出てくるのは東京の貧困女子だが、実際は日本全国に同じような立場の女性たちがいるのではないだろうか。
日本中に『東京貧困女子』はいるのではないだろうか。
かく言う私もまた「貧困女子」に該当する。
非正規の仕事で、生活保護水準より低い所得で生活している。
本を読んでいて共感することが多々あった。
女性の貧困問題は、今や日本中に蔓延していると言っても過言ではない。
決して他人事とは思わず、彼女たちのことを知ってもらいたい。
そして、これからの社会のあり方を考えてもらいたい。
「女性が輝ける社会」でなくていい。
「女性が幸せに生きられる社会」であってほしい。
この本を読んでそう願わずにはいられなかった。
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