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「永田カビ」を抱きしめる

永田カビを知ったのはツイッターだった。

誰かがこのマンガ良かった!!と紹介していたのだ。

 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

 

 

タイトルを見たとき、まず浮かんだのは「?」だった。

レズ風俗というものがあることを初めて知ったし、さびしすぎて行くってとういうことだろうと思った。

しかもエッセイコミック。

これは読んでみなければと本屋で買い求めた。

 

読んでびっくりした。

レズ風俗に行ったことにでも自傷していることにでもない。

私も誰かに抱きしめられたいんだと気づかされたからだ。 

 

作者の永田カビは性的な経験も社会的な経験もないまま28歳になった。

職場にも家にも居場所を見出せず、誰かに心を開くこともできず、鬱と摂食障害になっていた。

 

ここまで書くだけで、もし自分だったら苦しくて「死」を選ぶかもしれないと思ってしまうほどだ。

 

しかし永田カビは、

 

毎日24時間1秒の休みなく苦しかったのでどう考えても死ぬほうが楽だった

しかし生きるより死ぬメリットの方が明らかに多くなったのだなぁと思うと

意外にも悔しかった

「なにくそ!!!」

「こうなったらダメ元で立ち直るべくあがいてから死んでやる」

と思った

 

それでマンガを描いてデビューするのだから彼女の生きる力はすごい。

 

しかしそういうプラスなことは長く続かなかった。

再び彼女は苦しみの中に戻ってしまう。

 

そんな中、永田カビは思う。

 

「誰でもいいから抱きしめてほしい」

 

そこからどうしてレズ風俗に行くことになったのかは、ぜひマンガで読んでもらいたい。

 

レズ風俗に行った永田カビは、その経験をマンガで描きたいと思うようになる。

 

「私も描きたい」

「よくそんなの公開できるなって思われるような自分のことを・・・!」

 

そして描いたのがこのマンガだ。

 

ここにいるのは等身大の「永田カビ」という人だ。

どこにも居場所がなく誰かに心を開くこともできず、でも誰かに抱きしめられたいと思う、「永田カビ」という人だ。

 

私たちは大人になるにつれ、誰かに抱きしめられるという経験が少なくなる。

もちろん、恋人だったり家族だったりがいる人は話が別かもしれない。

それでも抱きしめてほしいという欲求は、誰もが持っているものではないだろうか。

さびしくて誰かにだきしめられたいと思うことは決して恥ずかしいことではない。

 

このマンガを読んで、私もその欲求をずっと持っていたことに気づかされた。

家族がいても友人がいても、突然さびしさを感じることがある。

そんな時、本当は誰かに抱きしめてほしいのだ。

それが性的なものであってもなくても、誰かに抱きしめられたい。

 

永田カビの葛藤の日々はこの後も続いていく。

それはこちらの2冊から伝わってくる。

 

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

 
一人交換日記(2) (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記(2) (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 こちらも名作なのでぜひ読んでもらいたい。

 

これからも私はさびしさを感じ、時には孤独の渦に飲み込まれるかもしれない。

そんな時、「永田カビ」を抱きしめると、自分は一人ではないと感じられると思う。

 

もし今さびしさを感じている人は、誰かに抱きしめてもらってほしい。

それが難しかったら、「永田カビ」を抱きしめてみてほしい。

きっと孤独を感じているのはあなただけではないと気づくことができるから。