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信頼と安心のブックガイド

本を読むことが好きだ。
本を読んでいる人が好きだ。
本を読んで書評やブックガイドを書いている人が好きだ。

というわけで、私が参考にしているブックガイドを3冊紹介します。

1.桜庭一樹
『少年になり、本を買うのだ』

直木賞作家、桜庭一樹東京創元社から出している読書日記シリーズの第1巻。
桜庭一樹という人は本当に読書家で毎日毎日本を読んでいて、この本では日々の生活と読んだ本について書かれている。
直木賞を受賞した『私の男』を書くまでの生みの苦しみも書かれているので、作家の舞台裏を知ることができるのもおもしろい。
しかしなんといっても特筆すべきはその多岐に渡る読書量だ。
国内作品、海外作品、フィクション、ノンフィクションととにかくたくさん読んでいる。
この本に出会ったのは学生の時だが、それまで私は海外作品を読むことが苦手で専ら国内作品、特にミステリを中心に読んでいた。
そんな中この本に出会い、著者が読んだ本を紹介している文を読み、その本を読んでみたいと思ったのだ。
パット・マガー『四人の女』、J・M・スコット『人魚とビスケット』、ピーター・ラヴゼイ『つなわたり』などの海外ミステリや、アーゼル・ナーフィシー『テヘランでロリータを読む』などの海外のノンフィクション。
もちろん国内の作品も読んでいて、とにかくひたすらに、縦横無尽に読んでいる人なのである。
そんな人の書評がおもしろくないわけがない。
実際私はこの本を読んで、上記の海外作品を読んだ。これ以来海外作品に抵抗が無くなったくらいおもしろかった。
著者の読書日記は既刊で5冊あるが、私は1巻であるこの本をブックガイドとして挙げたい。桜庭一樹を知るための紹介本としても読み応えがある。
日記形式なので読みやすいし、下段に本の紹介や注釈がついているので本を探す際に大いに役立つ。
著者と編集者たちのやりとりもおもしろいので、エッセイとしても楽しめる。
海外作品を読んでみたいけど、どの本を読んだらいいかわからない、作家はどんな本を読んで作品に活かしているのか知りたい、という人におすすめできる1冊です。
もちろん著者の小説もおもしろいので、この本が気に入った方は、『少女には向かない職業』や『ファミリーポートレイト』など、ぜひ読んでみてください。


2.三宅香帆
『人生を狂わす名著50』

人生を狂わす名著50

人生を狂わす名著50

京大院生の書店スタッフであり、書評・文筆業もしている三宅香帆の書評集。
「私にとって、読書は、戦いです。」
そう言うだけあって彼女の読書量は半端ない。
彼女のすごいところはその若さではなく、常に読書と戦っている姿勢だ。
この本にはこういうところがあって、この本も併せて読んでみたらおもしろいと次に読む本まで提示し、読者にもリングに上がることを勧めてくる。
読んでいる本もジャンル関係なく、新刊もあれば古典もあり、彼女は戦う相手を選ばない。
それぞれのタイトルも『高慢と偏見』「立派で完璧な人生VS笑えて許せる人生」、『アウトサイダー』「退屈な日常VS退屈からの脱却」など、目次を眺めているだけで楽しい。
嬉しかったのは、私が大きく衝撃を受けた米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』を「世界中、誰にでもおすすめできる小説」として挙げているところだ。この小説を読んだ時の衝撃を共有できる人がいるというのはとても心強い。
私のように彼女の紹介する本が、誰かの大切な本かもしれないのでぜひ読んでもらいたい。
恥ずかしながら、私はこの本で紹介されている本を半分も読んでいない。これからこの本を片手に今まで手に取らなかった、取りこぼしていた本を読んでいきたい。
文章がとても上手いので、書評以外の文も読んでみたい人ナンバーワンである。


3.吉野朔実
吉野朔実は本が大好き』

吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)

吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)

最後に紹介するのはマンガである。それも大量の本を紹介するマンガ。
亡くなるまで『本の雑誌』に掲載されていた書評マンガであり、エッセイマンガだ。
タイトルの通り、本が大好きな吉野朔実の読書はジャンルを問わない。小説もマンガも写真集も、辞書まで紹介している。
その本の感想であったり、日常の中に読書があったり、彼女の生活の一部としてたくさんの本が描かれている。
また個性的な友人たちと本の話をしている様子はとても羨ましくなり、私も誰かと本の感想を語り合いたくなる。
このブックガイドのいいところは自分の知らなかった本を知れることとその本を吉野朔実がどのように読んだり、感じたりしたかを絵で見られるところである。
普段本を読まない人でもマンガを楽しみながら、本の情報まで得られるお得感。ブックガイドの初歩としても読めるので、気軽に楽しむことができる。
今本を読みながら、吉野朔実だったらどんな感想を持つだろうかと考える時がある。吉野朔実は私に本を読む楽しさを教えてくれた。


以上、3冊が私が信頼し、安心して読めるブックガイドです。
みなさんも何を読んだらいいかわからない時や、普段読まない本を読みたい時の参考にしてみてはいかがでしょうか。