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これからもつながっていたいあの子へ

ライターのひらりささんが発行した同人誌『女と女』を読んだ。

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「実在の女が、実在の女に向けて書いた、テキストなどを集めた同人誌」で、執筆者がそれぞれ過去のまたは現在も関係が続く女性に向けて手紙のように書いている。

どの執筆者も文章がうまく、内容もおもしろい。執筆者を見るとみんながみんな書くことのプロというわけではないから驚きだ。中にはいつもTwitterやブログで見ている方もいるから勝手に親近感が湧く。

特に心に残ったのは、にのんさんの「私が黒歴史かもしれないあの子へ」。読み終えて私も誰かの黒歴史かもしれないとちょっと笑ってしまった。その時お互いを必要だと強く思った関係性が終焉に向かうのは切ない。多分その終わりが見えてくるとわかっちゃうんだろうな、お互い。それを「私が黒歴史かもしれない」と自ら言ってしまうのがおかしくあり、切ない。

 

『女と女』、読み終わって真っ先に浮かんだのは、私にとっての「女」だった。いてもたってもいられず、このブログを書いている。

以下、私にとっての女にあてた文章である。

 

 

「これからもつながっていたいあの子へ」

彼女に出会ったのは大学生の時。いつ、どんな風に出会ったのかを実はよく覚えていない。いつの間にか知り合い、いつの間にか仲良くなっていた。今まで出会ったことのないタイプの子で、一緒にいると楽しかった。

 

彼女とこれかも一緒にいたいと強く願ったのは、大学3年生の時だ。その頃うちは荒れに荒れていた。両親の不仲、祖父母の介護、家庭の経済状況の悪化。家に帰るのがいやで講義が終わっても大学に残っていたり、友達と遊んで夜に帰ったりしていた。

誰にも相談できなかった。家のこと、特にお金がないことを話すのは恥ずかしいし、もし話して引かれてしまったらどうしようという恐怖があった。

だからいつも笑顔を張り付かせていた。自分は何も悩んでませんよという澄ました顔をしていた。当時の友達に実はあの頃こうだったと話すと驚かれてしまうだろう。

毎日毎日頭をぐるぐると働かせ、どうしよう、どうしようと思っていた。

そんな時浮かんだのは、彼女の顔だった。他の友達と比べると彼女との仲は浅い頃だった。大学で会ったら話し、他の友達を交えて遊んだくらいの仲。それなのに彼女の顔が頭から離れず、気づけば長文メールをしたためていた。家庭のことを誰かに聞いてもらうのは初めてだった。

送信して、返事を待った。引かれたらどうしよう。長すぎたから嫌がられるかも。なかなかこない返事にやきもきした。送ってから何時間経っても返事は来なかった。

あきらめようとしたその時、着信音が。慌ててメールを確認すると、

「メールが来た時、バイト前だった。いい加減な返事をしたくなかったからこんなに遅くなってしまった。ごめん」

そこから延々と私の愚痴とも相談ともつかないメールへの返信が続いていた。

彼女は引いていなかった。それどころか私のことを一生懸命、自分もバイトで忙しいのに考えてくれていた。メールをスクロールしながら涙が止まらなかった。

彼女とずっと一緒にいたい。これからも彼女のそばにいたい。誰かをこんな風に想ったのは初めてのことだった。

 

私と彼女の関係はそこからぐっと親密になった。彼女は自分のことをあまり話すタイプじゃなかったけど、家のこと、バイト先のこと、今抱えている悩みを話してくれるようになった。彼女に何か困ったことがあれば駆けつけたし、彼女の支えになるならと行動を起こしたこともある。

遊ぶことも多くなった。ランチを学生割引で食べたり、遠出したり、互いの服を選んだり。私は友達とずっとこういうことがしたかったのだなと嬉しくなった。

性格も好きな服の系統も趣味もまるで違っていたけど、彼女のそばにいることが一番居心地が良かった。彼女の前では自分を偽らず、ありのままの自分でいられた。

彼女がいたから大学を卒業することができたと思っている。

大学卒業後も彼女との関係は続いた。それぞれ進んだ先は違ったけどメールしたり、休みが合えば会ったり。彼女とつながっていればそれだけで幸せだった。

 

今、彼女は遠くで暮らしている。会えるのは年に1回、彼女が帰省した時だ。それ以外はLINEだけ。

お互いが1番の友達で「親友」だとも思っているけど、そう呼ぶのはなんだか照れくさい。彼女も言わない。でも私にとってまぎれもなく彼女は親友だ。

遠くにいるけど、会える回数は減ってしまったけど、それでも彼女は私にとって心の支えだ。彼女にとってもそうだったら嬉しい。

大学を卒業していく年も経った。お互いの環境の変化も色々あった。これから先も何が待ち受けているかわからない。

これからも関係を続けていけたらいいな。私がもらった幸せをもっともっと彼女に返していきたい。

いつだって真っ先に顔が浮かぶ彼女とこれからもつながっていたい。