私も「ダルちゃん」
私の大好きな『ダルちゃん』が新井賞を獲りました!!
新年から嬉しいニュースです。
今回はそんな『ダルちゃん』について書きたいと思います。
(以下ネタバレあります)
はるな檸檬『ダルちゃん』は資生堂の「ウェブ花椿」に連載されていた。
初めてこのマンガを知ったのは誰かのツイッターだった。
はるな檸檬といえば『ZUCCZxZUCA』などの宝塚マンガのイメージがあったので、その人が描く女性の姿に興味があった。
読んで衝撃を受けた。
「これは私のことを描いているのではないか」
主人公は丸山成美。24歳の派遣社員。
普通に出勤し、普通に仕事をし、普通に会社の人とコミュニケーションをとる。
一見するとどこにでもいそうな女性。
しかし、それは擬態した姿で実際はダルダルしているダルダル星人の「ダルちゃん」。
普通の家に生まれ普通に生活していたが、それは周りとは違う普通だった。
ダルちゃんは家でも学校も浮き、ひとりぼっちだった。
このままではいけないと思ったダルちゃんは一念発起し、周りに合わせ、自分を偽り「普通の女性」へと変身した。
ダルちゃんは普通、みんなと一緒。そのことに安心していたけど、それはあくまで自分を騙している姿でしかなかった。
でもそんなダルちゃんを理解してくれる友人や、ありのままのダルちゃんを好きになってくれる恋人もできた。
そしてダルちゃんは、今まで偽りの姿しか晒せなかた自分が、「詩」という素直にありのままに自分を表現できるものに出会う。
しかし、その詩によって恋人との関係がギクシャクし始めたダルちゃんは、詩を捨てようと決心する。
そしてまた普通の女性として生きようとするが、意外な人物によってその決意を崩される。
これ以上は書くことができない。ぜひ読んでもらいたいところだからだ。
そして、このマンガを読んだ時に感じた、
「これは私のことを描いているのではないか」
私もダルちゃんのように擬態している。社会で生きていくには自分を偽って周りに合わせて生きていかなければならないと思っている。
でもそうじゃないと教えてくれるのがこのマンガだ。
ある登場人物が言う。
「普通の人なんてこの世に一人もいないんだよ」
「ただの一人もいないんだよ」
「存在しないまぼろしを幸福の鍵だなんて思ってはいけないよ」
私はここで涙が止まらなかった。
普通の人なんていない世界で、なぜ私は普通になることを望んでいたんだろう。
なぜ普通に生きることが幸せだなんて思っていたんだろう。
私はこのままでいいんだ。ありのままの自分でいいんだ。
それに気づけた時、スッと肩の力が抜けた。ようやく自分に目を向けることができた。
私って今のままでいいんじゃん。
周りと違ったっていいんだ。それが私なんだ。
上記の言葉を受けてダルちゃんがどう変化するのか、そしてこのマンガがどんな風に終わるのか。気になった人はぜひこのマンガを読んでほしい。
あなたの中にも「ダルちゃん」がいるかもしれない。
自分は自分でいいと肯定してくれる素敵なマンガです。
このマンガに出会えて本当に良かった。