まるっとミミ吉

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人の日記を読むってなんだか背徳感がある

「日記」を読むことが好きです。人の日記ならなおさら。

今回は、私が勝手に「日記文学」だと思う作品を3つ紹介します。

 

1.二階堂奥歯『八本脚の蝶』

八本脚の蝶

八本脚の蝶

 

「物語をこよなく愛したある女性編集者の記録」

二階堂奥歯は2003年4月26日自ら絶つ日までネット上に日記を書き続けた。 

物語や美しい物を愛し、感受性の強いその人は、度々「死」を匂わせていた。

彼女にとってこの世界は美しくなく、辛いものだったと思われる。

日常生活を書いている時もあるし、読んだ本の文章を引用したり、詩的な文章を綴っている時もある。

たいへんな読書家でもある。出てくる本は幻想的なものが多い。

私が一番印象的なのは、2003年4月21日の日記だ。

 

今日は母と弟と近所に夕食を食べに行きました。

私は最近飛び降り自殺に適したビルを探してきょろきょろ上を見ながら歩く癖があります。

 

ここから母親と弟とどこが自殺に適したビルかという会話をし、母親に、

 

母「奥歯は死ぬのに向いてないんだからもうあきらめなさいよ」

 

と言われ、弟にも諌められた後ごはんを食べて、カラオケに行っている。

しかし、この5日後に彼女は飛び降り自殺をするのだ。

彼女はこの世界で生き続けることに限界を感じ、「死」を選ぶのだ。

亡くなった人の日記を読むというのはとても不思議な感じがする。彼女が生きられないと感じた世界で私は生きている。

時折読書をしていると、彼女がもし生きていてこの本を読んだならどんな感想を持っただろうかと想像することがある。

私の好きな「日記文学」の一つです。

 

 

2.少年アヤ『焦心日記』

焦心日記 (河出文庫)

焦心日記 (河出文庫)

 

「おかま」を自称する少年アヤの日記。

 前半は韓国アイドルに身を焦がし、自分を守るための「いばら」を張り巡らす。

テンションの浮き沈みが激しく、時折、その落差について行けない時があるが、それでも読み続けられるのは、少年アヤという人が魅力的だからだ。

後半はショッキングな出来事をきっかけに、自分に向き合っていく過程が綴られている。自分の中にいる「男の子」と「女の子」に向き合っていく姿は読んでいるこちらが苦しくなってくるほどだ。

自分に向き合うというのは簡単なようでとても難しい。その過程を少年アヤは赤裸々に書き続ける。

この日記を読んで私は、少年アヤという人をもっと知りたいと思った。何を考え、どんなことを感じるのか。

嬉しいことに、現在こちらのサイトで少年アヤの今の日記を読むことができる。

www.f-bungei.jp

私はこれからも少年アヤの日記を読み続けていきたいです。

 

 

3.銀色夏生つれづれノート

つれづれノート (角川文庫)

つれづれノート (角川文庫)

 

 現在も続いている詩人で作家の銀色夏生の日記「つれづれノート」シリーズ。

仕事のこと家族のこと友人のこと生活のことなどを、つれづれと書いている。

時折、日記以外に詩が挟まれることがあり、詩人銀色夏生を好きな人にとっても嬉しい内容となっている。

もちろん全てを書いているわけではないとは思うが、ありのままの生活が書かれていて、本当に日記を読んでいるという感じがして、日記好きの私にはたまらない。

子どもたちの成長も知ることができて、なんだか身近に感じてしまう。

現在も続いているシリーズなので、私のように「日記」を読むことが好きな人はぜひ読んでみてください。

 

 

以上、私が勝手に「日記文学」として読んでいる3作品です。

人の日記を読むってどうしてこんなにおもしろいんでしょうね。